地域格差に関しては、
• 法定の基礎定数
義務標準法は「通級児童生徒13人につき教員1人」を標準にしています。 
• 実態は最大4倍の開き
最新の調査では、自治体ごとに〈教員1人が見る児童生徒数〉がおよそ8人~30人まで広がり、その差は約4倍に達しています。 
• 専門性の空洞化
採用10年以内の教員の8割が特別支援教育を担当した経験がなく、通級需要の急増と人材育成が追いついていない実態も報告されています。 
地域差が生まれる理由
1. 財政と優先度の違い
加配予算や研修費をどこまで確保できるかは自治体しだい。財政が厳しい地域ほど正規教員の補充が後回しになりがちです。
2.教員確保の難しさ
過疎地域や島しょ部では、特別支援免許や通級経験を持つ教員の公募自体が少なく、配置が遅れる傾向があります。
3.校数と通学距離
小規模校が点在する地域では「巡回指導」に頼らざるを得ず、1人の教員が複数校を掛け持ちして持ち時数が膨れ上がります。 
子ども・保護者・教師への影響
• 待機児童・週0コマ問題
通級を希望しても「教員が埋まっている」と待たされる。開設されても週1コマも取れないケースが報告されています。
• 支援の質のばらつき
30人を1人で担当する現場では、教材研究や記録が削られ、指導が「行くだけ・話すだけ」になりやすい。
• 教員の燃え尽き
授業準備・校務・通常学級支援を抱えたうえで巡回や会議をこなすため、離職やメンタル不調のリスクが上昇します。
保護者・関係者の皆さまへ
お子さんが「通級に行きたいのに枠がない」「担当が代わった途端に授業が減った」というときは、学校と自治体の両方に状況を確認してください。
基礎定数は“目安”であって絶対値ではなく、追加配置や巡回指導の手立てがある場合も少なくありません。
DAY 5では「申請・判定のハードルと保護者負担」を掘り下げ、実際の手続きフローとよくあるつまずきを解説します。