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通級指導教室の課題 ⑦保護者・学校・行政をつなぐ ―第三者コーディネートの重要性

1|なぜ「第三者」が必要なのか

この問題は、通級だけではなく支援級や通常級も課題です。
在籍学級・通級担当・保護者・教育委員会など複数の主体が関わる“協働の支援”。ところが現場では、

目的や優先順位のズレ(例:「学習保障」か「自立活動の徹底」か)
言葉の温度差(専門用語・評価基準の違い)
連絡手段の分散(連絡帳・メール・口頭の混在)
決定事項の曖昧さ(誰が・いつまでに・何を)が不明が重なり、支援が止まる/遅れることが少なくありません。
利害から中立な第三者が入ることで、合意形成と実行管理が加速します。

2|第三者コーディネーターの主要役割(CASEの実践より)
翻訳役:保護者の生活言語 ⇄ 学校の教育言語 ⇄ 行政の制度言語を相互に橋渡し。
合意形成:目標を「本人の支援」と「期限」に落とし込み、明確化。
調整:滞った手続き(判定・加配・送迎等)を所管へ確認し、必要時に上位へつなぐ。医療機関との調整
個人情報・同意の整理:共有範囲・保管方法・閲覧権限を事前に合意。

3|“止まらない”支援協力
困りごとを収集(保護者・担任・通級担当の三者)。
評価を共有。
現状共有(欠席・課題・強み)
課題の“原因”を特定(例:板書が写せない→視覚処理/作業記憶)
授業内での具体策を決定(例:板書写真の許可/指示は3ステップで提示/評価は到達度×努力で記録)
家庭での協力事項と連絡手段を確認
合意文書化(個別の支援・指導計画書)
その後の経過確認と引き継ぎ支援

4|文書は「個別の支援・指導計画書」で回す
合意形成:目標/具体策/評価
※内容はCASEで対応しています。必要な方はお問い合わせください。

5|介入のタイミング(目安)
相談・要望への返信が2週間以上ない/進まない
同一の困りごとが3回以上学期内に再発
安全や健康に関わる懸念が生じた(暴力・暴言・健康悪化の兆候など)
通級の成果が教室で活かされない状態が1か月続く
→ いずれかに該当したら、第三者の同席やオンライン調整の依頼を検討してください。

6|成果を確認(数値+物語で)
欠席・遅刻・早退の回数変化
宿題提出・課題完了の割合
授業中の自己申告・ヘルプ要請回数(自立度の指標)
保護者の付き添い時間の削減
本人の自己評価スコアと「うまくいった場面」のエピソード
数値で“見える化”し、物語で“伝わる化”すると、次の支援につながります。

7|よくある質問
Q. 誰が第三者になれますか?
A. 学校外のNPO、当該自治体の相談窓口、スクールソーシャルワーカー、医療・療育の担当者など。学校内の特別支援教育コーディネーターが担う場合もあります。

Q. 何を準備すればいい?
A. これまでの連絡帳・通知表コメント・通級の記録・医療や検査の要点を、時系列に並べるだけで十分。

Q. お金はかかる?
A. 自治体サービスは無料の場合が多く、民間の同席・記録作成は有償の場合があります。事前に見積りを確認しましょう。

8|CASEのサポート

同席コーディネート(対面/オンライン)
個別の支援・指導計画書作成の伴走
進学・進級時サマリー運用(テンプレ+記入支援)
障害者手帳・障害者年金相談(書類作成・手続き)
※緊急のご相談には即日オンライン枠もご用意します。

9|まとめ
第三者コーディネートは、立場の違いで生じる“誤差”を小さくし、合意→実行→検証のサイクルを回すための潤滑油です。
支援は声の大きさではなく、合意の明確さと記録の確かさで前に進みます。迷ったら、早めにご相談ください。

次回 DAY 8 は「“記録とエビデンス”――成果を残す書き方・残し方」を予定しています。

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