通級指導教室だけでなく課題として考えて欲しい!
「個別の支援・指導計画書」は、いま目の前の授業を良くするだけの書類ではありません。子どもの“できる力”と“必要な配慮”を、学年・学校・社会へ連続して運ぶための記録です。
「未来の履歴書/取扱説明書」として機能させる具体策をまとめます。引き続き資料を学校と協力して作成しましょう。
1|「個別の支援・指導計画書」が将来に運ぶものは何か
•強み(できる・好き・続けられる)
授業での成功パターンは、そのまま進学面接・就労面接の“自己PR材料”になります。
•配慮(環境・手立て・評価の工夫)
何が効いて、どの程度の支援でできたのか。条件と結果が紐づいた記録は、進学・就労時の配慮相談の土台になります。
2|進学での使われ方(高校・大学・専門学校)
目的: 配慮申請や在籍校への引継ぎで、“本人に合う学び方”を素早く共有する。
「計画書」に入れておくべき要点
1.目標の書き方:〈条件+行動+基準+期限〉で明確化。
2.効いた手立ての具体:例「板書は写真可」「指示は3ステップ」「評価は到達度と努力で二軸」。
3.支援度の目安:0(自立)〜3(手添え)など段階化。
4.成功事例の証拠:ワークサンプル/短い観察メモ(ABC:先行条件→行動→結果)。
3|就労での使われ方(実習・インターン・障害者雇用を含む)
目的: 職場で再現できる“働ける条件”を最短で共有する。
「計画書」から職場向けに転用するポイント
•作業・コミュニケーションの成功条件:例「朝イチに作業手順の見通し」「口頭指示は短文/確認は指さし」。
•疲労・過負荷のサインと対処:例「離席→5分休憩で復帰」など具体的。
•評価の仕方:質だけでなく頻度・持続時間も見る、と明記。
•本人の自己申告文(職場版):例「私は“急がされる事や責任を持たされると緊張が強くなります。…」
就労実習の事後面談では、「効いた手立てTOP3」を軸に振り返ると、配慮の話し合いが前向きに進みます。
4|地域生活・福祉サービスでの使われ方
相談支援、通所支援、医療との連携でも、できる/苦手/効く手立て”は計画づくりの共有言語になります。学校だけで完結させず、同意の範囲で要点を抜粋して外部と共有できる構成にしておくのがコツです。
5|“将来に効く「資料」に今から入れておくセット
1.強みの文言:行動と言葉で(例「手順化・整理で粘り強く継続できる」)。
2.トリガーと対処:過負荷のサイン→本人/周囲の具体的対処。
3.支援度スケール:0〜3の段階と、各段階の具体内容
4.成功エピソードの短文:1つでよい。背景→手立て→結果を3行で。
まとめ
「個別の支援・指導計画書」は、書いた瞬間に役割を終える書類ではありません。強みと配慮の資料として、進学・就労・地域生活まで連続させる設計が大切です。
今日の教室での成功を、明日の進路の力に。“未来の履歴書/取扱説明書”として育てていきましょう。
次回は、10回シリーズ最終回です。