発達障害の子どもたちにとって通級は大切な選択肢ですが、「行きやすさ」「連携」「専門性」「継続性」の4点が揃わないと本来の力を発揮しにくい――これが全国の調査・研究・現場の声から見えてくる大きな課題です。
課題をひとつづつ10回に分けて取り上げます。
1. アクセスと地域格差
「通級」は日本中どこでも同じではないのです
通級指導教室の設置状況を見ると、都道府県ごとに大きなばらつきがあります。
最新の調査では――
• 開設校の割合に2~3倍の開き
• 担当教員1人あたりで受け持つ児童生徒数は最大で約4倍
• 支援員(補助員)の配置数は最大で約6倍
つまり、住む場所によっては「そもそも通級がない」「あっても満枠で申し込めない」「週1コマも取れない」という現実に直面するご家庭があるということです。
何が格差を生むのか?
1. 自治体の財政力と優先度
予算に余裕があっても、特別支援教育を重点に位置づけていなければ設置が進みません。
2. 人材確保の難しさ
地方や過疎地域では、特別支援の免許や経験を持つ教員が採用・配置しにくい。
3. 学校数と通学距離
小規模校が散在する地域では「通わせたいけれど送迎できない」問題が顕著です。
学年段階での偏在。
小学校には設置が進む一方、中学校→高校で急減(地域により未整備)。
進学時に支援が途切れるケースが多く、必要児童が通級を受けない(受けられない)理由のひとつになっています。
▶ 次回は、「申請・判定のハードルと保護者負担」について