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通級指導教室の課題 ⑥ 在籍学級との連携にみる問題点

なぜ「連携」が最大の課題になるのか

文科省調査では、自立活動の充実に向け「通常の学級との連携が重要」と答えた小学校は 89.8 %で最多でした。 
それだけ現場が “つながり不足” を痛感している証拠です。以下では典型的な5つの問題点を整理します。

 見えてきた5つの問題点

① 情報共有が断片的
「個別の指導計画」を作成する担当者の視点が大切。「何を学んだか」が在籍学級に届かないと、成果が教室で活かされないまま終わってしまいます。 

② 時間割の衝突で“抜け落ち単元”が発生
他校通級では移動と待ち時間で2〜3時間を要し、国語や理科の実験など参加できない単元が出がち。「どの授業を抜けるか」で、学習保障にムラが生じます。

③ 役割分担のあいまいさ
通級担当は「特性に合わせたスキル指導」、担任は「日常場面での汎化」を想定していても、定例ミーティングが無ければ双方が同じ内容を繰り返したり、逆に誰も扱わない領域が生まれたりします。

④ 担任の専門性・リソース不足
全国調査では担任による「できる範囲での支援」が 91 %と最多で、支援員配置や巡回専門家のサポートが追いついていない実態が示されています。 

⑤ スティグマとクラス風土
「抜ける子=特別扱い」という見方が残るクラスでは、児童本人が支援を遠慮したり、帰着後の学習参加がぎこちなくなることも。

 背景にある3つの構造要因
 1. 制度設計が“自立活動”中心
通級は自立活動を行う前提で設計され、教科指導は原則在籍学級でした。ところが今夏の中教審は「教科指導も必要に応じて通級で実施可」と方針転換を示し、時間割調整・役割整理が急務になっています。 

 2. 他校通級・巡回型の増加
教室数不足を補うため巡回や別校舎型が拡大。距離が伸びるほど担任との接点は薄れ、連絡帳や電話頼みになりがちです。

 3. 校内コーディネーター機能の未整備
特別支援教育コーディネーターが複数業務を兼務し、通級連絡に割ける時間が限定される学校も少なくありません。

 まとめ

在籍学級との連携は、通級の成果を“教室の日常”へ橋渡しする生命線です。
情報共有の仕組み化・時間割調整・担任サポート・クラス理解啓発――この4点があれば、通級と在籍学級の連携の助けになる。

次回 DAY 7では「保護者と学校、行政をつなぐ第三者コーディネートの重要性」を取り上げます。

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