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“未来の履歴書”を仕上げる—進路へ運ぶ実戦ガイド

出願・オリエンテーション・実習の場で、最初に求められるのは“簡潔で再現可能な情報”です。「個別の支援・指導計画書」全文ではなく、要点だけをA4一枚に抜き出す「提出用」を用意しておくと、配慮相談や初期支援がスムーズに始まります。
進学・就労の配慮へ“そのまま持ち出せる”形を提案します。

第1回
“未来の履歴書”を仕上げる

「提出用1枚」の作り方
・進学・就労へ“強みと配慮”をA4の1枚で届ける

1 完成イメージ(A4・1枚)

項目(各2〜3行)
1. 基本情報:氏名/学年・学部(進学先なら志望分野)/連絡先

2. 私の強み(3つ):行動で表現(例:手順化された課題を粘り強く継続できる)

3. 困りやすいこと(3つ):条件つきで表現(例:雑音が強い場面では集中が下がる)

4. 効く手立て(3つ):先行条件・指示・評価の工夫を具体に

5. 避けたいこと(3つ):過負荷トリガーと回避策

6. 本人の自己説明(100〜150字)

7. 参考:成功エピソード1件(3行)+指標の推移(1指標)

2 作成ステップ

Step 1 目的を決める
進学(学習配慮中心)か、就労(作業・コミュニケーション中心)かで語彙を選びます。

Step 2「個別の支援・指導計画書」から効果のある手立てを抽出
三行サマリー/観察メモ(ABC)/支援推移から、再現性の高いものを3つだけ。

Step 3 強み・困り・避けたいことを“条件つき”で言語化
形容詞ではなく行動+条件+結果で
(例:「開始前に手順を示すと、集中が続く」)。

Step 4 自己説明100〜150字を用意
例)
私は段取りが見える環境だと力を安心します。開始前に今日の手順を短く示されると、作業を続けられます。指示は短文が助かり、確認は指さし合図が分かりやすいです。雑音が強い場面では集中が下がるので、イヤフォンか席替えで調整します。疲れの合図は耳タッチ。5分休むと戻れます。

3 チェックリスト(提出前の最終確認)
• 文章は誰が読んでも再現可能(“わかりやすく”ではなく“どうすればできるか”)

• 固有名詞・専門用語の言い換え済み(他校・他部署でも通じる語)

• 数字を1か所以上含む(頻度・時間・量のいずれか)

• 更新日が入っている(3か月以内が目安)

• 本人と保護者の同意を取り、共有範囲を明記

4|よくある失敗と回避策
• 盛り込みすぎ → 1枚に収まらない:3×3(強み/困り/手立て)を上限に。

• 形容詞の多用 → 再現できない
 行動+条件+結果に言い換え。

• “努力”で締める → 必要条件を先に書く。

• 「計画書」と矛盾 → 抜粋元を明記し、更新日を合わせる。

5|テンプレート(本文に貼って使えます)

強み
• 手順が見えると、10分以上集中して続けられる。
• 作業は同じ順番で繰り返すと正確さが上がる。
• 役割が明確だと、協力依頼や報告がしやすい。

困りやすいこと
• 雑音が強い場面では集中が下がる。
• 口頭だけの長い指示は抜け漏れが起きやすい。
• 予定の変更が直前だと不安定になりやすい。

効く手立て
• 開始前に手順の見通しを短文で共有。
• 指示は3ステップ、確認は指さし。
• 5分休憩→復帰のルール化。

避けたいこと
• 大勢の前で急な指名。
• 長時間の一斉口頭説明。
• 休憩の合図が出せない環境。

6 まとめ

提出用は“要点だけ。
1枚・具体・最新の三つで用意しておくと、出願・面談・実習のどの場面でも、最初の一歩が滑らかになります。

次回 #2 は「面談での伝え方」——自己表明100字/想定問答/“合意メモ”まで。

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