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大妻女子大学 児童臨床研究センター主催の「特別支援教育講座」

【講演報告/講師レポート】
深刻な状況の中で支援を届けるには
〜相談がつながる、その一歩目〜—
CASE Japan 理事長・吉田明子

2025年9月20日、東京・大妻女子大学 児童臨床研究センター主催の「特別支援教育講座」に登壇しました。学生・教員・支援員・事業所管理者など約60名が参加。毎年顔を合わせる方々に加え、初参加の方も多く、毎回緊張します。

今回の主題は「深刻な状況の中で支援を届けるには〜相談がつながる、その一歩目〜— 」。支援が滞る背景(関係の断絶・不信・制度の狭間)、実地での4事例を軸に「関係の翻訳」「第三者の介入」「言葉の選び方」「タイミング」の4点を具体的に示しました。

支援学級での暴言・PTSD事例では、当事者・保護者・学校の“言語のズレ”を整えるだけで、交渉の景色が変わること。

高校ミスマッチからの再出発事例では、「入れたか」ではなく「続けられるか」を基準に選び直す大切さ。

進学校の不登校から就労につながった事例では、“普通”の物差しを手放すことで選択肢が増えること。

同級生の自死後の混乱では、窓口の再配置と「対応の具体化」が、足場になること。

手応えとして、参加者の多くが「翻訳役」の必要性に強く頷いていたこと、そして“怒りや不信を抱える保護者”に対し、まず“関係を編み直す”視点で入る重要性が共有できたと感じています。
支援は技術であると同時に関係の営みです。壊れた関係の上にも“一歩目”は必ずつくれます。
今回の学びが、それぞれの現場での小さな前進につながることを願っています。
ご参加くださった皆さま、開催に尽力いただいた研究センターの先生方に、心より感謝申し上げます。

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